シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
何処に行けばいい?
何処を探せばいい?
血痕以外…冷風が吹き込むだけの、閑散とした公園。
「…芹霞。何か音…聞えねえか?」
びゅうびゅうという風の音しか聞こえていなかったあたしに、煌が尋ねてきた。
煌は…時折、常人では聞きつけられない音さえ、その耳に拾うことがある。
――どこまでも、ワンコ…。
前に桜ちゃんがそう笑っていたっけ。
「…こっちからだ」
煌に導かれるようにして歩けば、確かに何かの音が聞こえてくる。
何かが震えているような低音。
呼応するようにがさがさと音がして。
この音――
「携帯のバイブ?」
そうだ。あの音だ。
がさがさっていうのは…草?
茂みに携帯が落ちているの?
しかしここら辺は、周囲全てが草に覆われていて、特定が難しい。
その音はふいに消え――
そしてまた鳴り始める。
凄く、気になった。
「よしワンコ、出動だ!! 出番だよ!!」
そうだ、ここには優秀…かどうかは判らないけど、探索犬がいるんだから。
「俺、ワンコじゃねえってのに…」
大丈夫。
あたしは1人じゃない。
煌が居る。
だから必ず、櫂に辿り着ける。
あたしはそう思い…煌と震える携帯を探して…
「芹霞、あった!!!
これ…桜のだ!!!」
煌が叫んだ。