シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「俺が、桜の番号をお前に公開しただって!!?
………???
………??
………。
そうだった――
ような気も…しない…ような?」
『疑問系で終わるな!!! そうだ、そうなんだよ!!!』
此処までそう言い張るのなら、そうなのだろう。
イマイチ、煌は釈然としていない顔をしているけれど。
「で、小猿くんが桜ちゃんに何の用?」
『や…いや、その…』
急に吃(ども)った声音から、妙な熱だけは感じるのは何故だろう。
まさか、小猿め…。
「桜ちゃんに…惚れたな…?
もしかして、一目惚れ?」
『!!!』
「声聞きたくなって、勇気出して思い切って電話してみました…みたいな?」
『ななな!!!』
「でも意外…。小猿くん、桜ちゃんみたいのがタイプなんだ。全然そんな雰囲気なかったじゃない、ウチでは。"ツン"しながら、ちらちら見てたんだ」
『ち、ちちちち違…』
「もしかして初恋? …ピュアピュア? 神秘的なゴスロリ桜ちゃんに簡単に糸で縛られた時、その圧倒的な強さと美しさに"きゅん"しちゃったとか?」
面白くなって適当なことを色々言ってたら、電話の奥から、何かがひっくり返ったような派手な音がした。
『おま…!!! エスパーか!!?』
何だか、図星指されたこのワンコと同じ反応のような…。
小猿くん、純粋に桜ちゃんが女の子だって思っているらしい。
今の美少年姿を見せたら、卒倒しそうだ。
「だけどおあいにく。只今桜ちゃんはおりません。ご愁傷様。小猿くんのピュアなブロークンハートに乾杯」
『ちがちが…違うからな!!! し、しし紫堂に用があったから、仕方がなく!!! 紫堂の携帯知らないから、だから仕方がなく!!! ふ…ふん!!! お、俺がぎゃあぎゃあ煩い"女"なんぞに夢中になるわけ…』
「……そうか、無口だから余計桜ちゃんに、ドッキンしちゃったんだ。おしとやかだもんね」
煌に対する態度はどうであれ。
『そうなんだよ。あの寡黙な処がまたいいんだよな。もっとよく知りたいみたいな…い、いやいやそんなことより!!! 紫堂に代われ』
小猿くんは…"ツン"の他に"デレ"要素もあるらしい。