シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「何で!!?
何でそんな宗教が!!?」
『判らないけれど…黄幡一縷っていう死んだ前教祖の後、信者離れになって経営が困難となり…そして今。新たなカリスマ教祖が誕生して、持ち直したらしい。
更にはその教祖に新しい出資者…まあ信者だけれど、それがバックについたって噂がある。紫堂櫂に固執するのはそいつらの魂胆かも知れない』
「小猿…お前なんでそんな情報俺達に流した?」
煌が、抑揚ない声で聞いた。
「お前にとっちゃ、櫂…紫堂の危篤は嬉しい限りだろう。なのに何故?」
暫しの沈黙。
「それとも桜の情報でも引き出そうとしたか? それともそんな窮状に陥った櫂を…俺達を嗤うつもりだったのか?」
「煌!!!」
煌は手を上げて、あたしを制する。
「それとも…お前か? 櫂を落としにかかってるの。お前は"皇城"の力があるから、兄上様に泣きつけば、紫堂なんか押さえつけられるだろう」
『違うよ!!!』
小猿くんの憤った声。
『正直、紫堂櫂を全面信用しているわけじゃないけど…だけど。裏から手を回して紫堂櫂を締め出すような、そんな陰湿な真似だけはしない。やるなら正々堂々、それが俺のモットーだ。
裏も表もないよ。俺はただ、朱貴からそのことを聞いた紫茉が…凄く怒っていたから…』
「紫茉ちゃんが!!?」
『芹霞に電話かけようとしたけど、朱貴に番号もメルアドも消されているから連絡つかないって…今朝、朱貴の言うこと聞かずにお前の家や桐夏に行ったらしいけど、どうしても会えないからって、直談判しに乗り込んだ』
「の、乗り込んだって何処に?」
『黄幡会』
「はいいいいッッ!!?」
紫茉ちゃん、何て無謀な!!!