シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


睨みつけて見る部屋には、出入り口がなく。


どのようにして俺がこの部屋に入ったのか判らない。


吹き抜けの天井を思えば…塔のように上下に細長い建物内にいるのか。




考えろ。

ここから抜け出す方法を。



考えろ。

皆を助け出す方法を。



色々考えていた時、左側の壁が…突然重い音をたてて横に動いた。



奥に、同様なあの壁が続いて見える。



隣の部屋、か?



真ん中に寝台が1つある。



誰かが――居る。



そして、聞こえてくる…掠れきった叫び声。



これは、この声は…



「玲!!?」




玲は――


ベッドの4隅に、俺と同じような手足を枷に縛られ、

身体を仰け反るようにして叫んでいて。




「玲、おい玲!!?」




伸ばした俺の手は、重い鎖に遮られて。



俺は、身動きが取れない。


手首から血が滴り落ちれど、鎖は切れない。



「玲!!! 玲、しっかりしろ!!」



傍に居るのに…俺の声は届かない。



「あああああああああ!!!」



鬘はとれ、鳶色の髪の毛を振り乱して。



半狂乱となった玲は――


電気の力を放出させた。
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