シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
だけど――
「謀反って…皆が? そんなはずないの、蒼生ちゃん…見て判らないの? 監視しないといけない程、蒼生ちゃんの目って腐ってるの?」
そんな会話が成されているのを理解していない…芹霞の興味は別のこと。
僕は静かに深い溜息をつくと、氷皇は爆笑した。
「いつもいつも。アカの妹だけあって、ストレートだねえ、芹霞ちゃん」
それが許されるのは紅皇と…芹霞だけ。
「だってそうじゃない。謀反の気があれば、蒼生ちゃんに頭なんて下げずに、そんな馬鹿馬鹿しい我慢なんてしないで、とっくの昔に噛み付いているわよ。それが判らないなら、たいしたことないわね、蒼生ちゃんも」
芹霞は櫂に関しては衝動的になるから。
それのおかげで、僕達の心を代弁してくれたようで…少しだけ胸がすっとする。
「大体。元老院に謀反だと宣言されて此処に居座られて、その元老院の1人である男に、証拠なんて見せないでしょう、普通。あんた櫂を何だと思ってるのよ、『気高き獅子』だよ!!? 簡単にボロ出すはずないでしょう!!?」
会話の内容が…微妙に変わってきた。
「せ、芹霞…それだったらまるで櫂が本当に…」
思わず僕は口出してしまったけれど、芹霞は止まらない。
「ボロっていうのはね、泳がして初めて出るものなのよ!!? 警察だって昔からやってる手法、知らないの!!?」
「あはははは~」
氷皇は怒らず…馬鹿ウケしている。
「笑ってないで早く櫂達を解放しなさいよ!!! 皆巻き込んで何様!!? そんなものの為に…櫂と煌が学校来れないせいで、あたしは女の子から追われる羽目になっているんだよ!!? それから!! あそこの部屋はあたしのよ!!! 勝手に青くしないで!!!」
更に胸倉まで掴んで叫び始めた。
半分…キレているのだろう。
「苦労かけてるんだね~、ごめんね、あははは~」
「反省の色が見られないっ!!!」
「部屋の色で勘弁してよ~、あはは~」
「ああ、本当に!!! 存在からして嘘臭いのよ、あんた!!! 出直してきてよ!!!」
「あはははは~」