シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

そんな様子を見ていればいつもの芹霞で。


さっきの…変にもじもじしていた芹霞はなんだったんだろう?


まるで夢だったかのよう。


俺は愚鈍だから、それの意味する処が判らねえ。


芹霞のスイッチがよく判らねえ。


おまけになれば、嫌でも聞こえてくる不気味な声の言葉が言葉だけに、俺の願望めいた…自惚れた結論に準じたものしか辿り着けなくて、ほとほと嫌になる。


今考えることじゃねえだろう!!!


後だ、後!!!


だけど…おかしなことに。


今考えねばならねえ…そんな妙な切迫感があるのも事実で。


今考えなきゃ、もうチャンスはないような…まるで、俺と芹霞の仲がもう終わってしまうかのような、そんな嫌な予感がして。


何かが終焉を迎えそうな…そんな妙な焦りに、心臓が忙しく動いている。


ありえねえ。


芹霞が俺から離れても、俺は芹霞を離さねえ。


地の果てまで追いかける。


俺はヘタレだけれど、しぶとさはある。


しかし消えぬ嫌な予感。


一体何だ?


俺は何を懼(おそ)れている?



「煌!!!」


「いてっ!!!」


芹霞が俺の指を捻っていた。



「さっきから呼んでいるのに、何ぼっとしてるの!!!」


芹霞がむくれている。


俺のお姫様は気まぐれだ。


さっきのしおらしさは何処へやら。



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