シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「ねえ、煌。黄幡会は…制裁者(アリス)の残党を集めてるのかな。制裁者(アリス)を…手下にしているのかな?」
そう質問されていたらしい。
「だけど…桜華の刺客もこいつらも、目が赤くないよね」
「ああ、しかも弱かった。それなら2ヶ月前の奴らの方が何十倍も強い。どういうことだ? まさか…制裁者(アリス)をまた育成しているなんてことは…」
「もしそうであったら、我らが正義の味方、紅皇サンがそんなの許さないんじゃない? 本物は紅皇サンが潰して・・・そして現在、また現役復帰しているなら、早々に聞きつけ、きっと怒りの鉄拳食らわしていると思うよ? 紅皇サンって強いんでしょ? 神々しい女神様なんでしょう?」
俺は――
大げさなくらいに大きな溜息を1つついて言った。
「……ああ強い。半端じゃなく強い。無茶苦茶強くて強くて、更に怖くて怖くて仕方がねえ神々しい女神様だ。
…しかし、どうしていまだに、自分の姉貴の正体に気づかねえのかな、この阿呆タレは…」
半ば自棄気味、独り言のように。
そんな俺の言葉を、お約束のように…当然聞いちゃいない。
「誰もが揃いも揃ってその強さを称える一方で怯えるくらいなのだから、相当に強い人なんだよね。いいなあ、皆知っていて。
絶対、絶対!!!
あたしだって会いたい!!!
皆がお世話になっています、ってまずお礼言わなくちゃ」
笑い転げるだろうな、緋狭姉…。
その時。
爆発音がして。
あたりがざわざわと騒がしくなった。
「櫂達が逃げ出したのかな?」
「……この臭い…何処かで火の手が上がっているな。あと…"力"、火の力を感じる…」
「火の力って…煌みたいな?」
「ああ、だけど俺のは"借り物"だからな。もっと真性の…緋、いや紅皇のような火の力に近いもの。マンション燃やした力とは別物だ。今感じるものは、俺と消し合いしていたあれより、もっともっと大きい」