シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「あの火事…結局犯人は朱貴だったんだっけ?」
俺は頭をがしがしと掻いて。
「あの火事現場付近に朱貴が居た。だから朱貴は火の力があって力を行使したと思っていたけれど、間近でそれを使う姿を見たわけでもねえ。
だったら、一体…マンション燃やした力と、今感じているこの力は、誰の火の力なんだ? 敵? 味方?」
「判らないけれど…この騒ぎに乗じて、色々探せるかな。…一体何処にいるんだろう櫂達。やっぱ一番怪しそうな、あの塔かな…」
芹霞が指差したのは、一番目立つ背の高い塔。
そこに全員捕まっているんだろうか。
そう、じっくりと見上げていた時。
何かきらりと光ったような気がした。
最初、見間違いかと思ったが、間違いなく…何かが光っている。
不定期に…
それはまるで、何かを反射しているように。
「あ!!!」
突然芹霞が叫んで。
「あれ、あれは…
――紫茉ちゃんだ!!!」
何だって!!?
「紫茉ちゃんだよ、間違いない!!」
芹霞…
俺、見えねえんだけれど…。
お前、何もって七瀬だって断言できるんだよ!!?
と、思ったら、芹霞はまっしぐらに駆け出した。