シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「え!!? えええ!!?」
ようやく芹霞は、我に返り。
「ぐるぐるぐるぐる、何なのよ!!?」
そう怒鳴って。
「この中に、紫茉ちゃんは居るの!!!
それに…多分櫂達も居るのよ、絶対この中に!!!」
芹霞がそう、足でドカッと壁を蹴った。
芹霞も感じていたか、櫂の気配。
「しかしどう入るよ?」
一応偃月刀で切りつけたけれど…やっぱりな。
この壁の特質からして、絶対物理的衝撃も、魔法的衝撃も一切受け付けねえ。
「仕掛けでもあるのかなあ。でもあたしと煌とで、仮に仕掛けを見つけたとしても…解けるのかなあ?」
むっとはしたけれど、確かに芹霞の言葉にも一理ある。
俺達は、頭を使うものが苦手だ。
「煌、ここで騒いでみようか」
やがて芹霞が言った。
「もしかして中から誰か出てくるかも知れないし。敵だったら煌がやっつけるか脅すかすればいいでしょ? あたし頭いいよねえ!!?」
あまりにも原始的な方法過ぎて、感想もねえや。
だけどここに櫂が居るのなら。
俺達が此処に居るということだけでも櫂に教えたくて。
「よし、じゃあ作戦決行!!!」
そして芹霞は思い切り息を吸い込んで、
"あ――!!!"
そう、言う直前だった。
突然――
「!!!?」
芹霞が背にした壁から、両腕が突き出て来て、
「きゃあああああ!!!」
悲鳴を上げた芹霞の身体を抱きしめるように、再び壁に吸い込まれてしまったのは。