シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「さすが…緋狭姉の妹だよな…」
「ああ…。正直、俺には真似出来ない」
「玲様…止めたほうがよろしいでしょうか」
僕は苦笑して、桜に言った。
「芹霞の震えが止まるのなら、やらせておこうよ」
少し前までは、がたがた震えていた芹霞。
僕らが逆らえない…最強の男に言いたい放題言っているのも同じ芹霞。
その変貌の契機は…櫂のこと。
芹霞に名前で呼ばせ、したいようにさせている氷皇の魂胆は判らないけれど――
1つだけ言えることは、それすら"必然"なのだろう。
やはりどんな顔を見せていても、
「紫堂玲、部屋の電気を消せ」
瀬良蒼生は何処までも氷皇で。
その顔を、酷薄なものに変えてくる。
唐突に――。
僕は訝りながらも、氷皇の命令に従う。
突然暗くなった室内で――
「!!?」
青白く…光るのは櫂の胸元。
そして僕と煌の手。
「やはり…
鱗粉(りんぷん)――か。
芹霞に触れた時についたな」
嘲るような笑いが暗闇に響く。
部屋の温度が…急激に下がった。