シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
止まった時間を、動かしたのは君。
僕に魔法をかけたのは君。
――玲くん? あたしは神崎芹霞。
どうして、君じゃないといけないのだろう。
女の数なんて、星の数程いるのに。
よりによって、櫂の想い人。
僕は長年、櫂の切なる想いを知っていたはずなのに。
いつしか櫂の想いは、僕の想いにすり替っていった。
櫂が愛しそうに芹霞を見れば、僕の心は甘く疼いて。
櫂が落ち込んでいれば、僕まで塞いだ気分になった。
それは、従兄弟の血の成せる技だと、当初僕は自嘲していたけれど。
やがて、"嫉妬"という心が芽生えた時、僕は自覚した。
僕は芹霞が好きなんだ。
芹霞だから、僕は好きなんだ。
秘めたる想いは…
熱を孕んで膨らみすぎて…
――止まらなかった。
ねえ芹霞。
君が櫂に揺らがないのなら。
櫂の想いにも煌の想いにも、
応える気がないのなら。
いや、何も応えようとせずに。
僕を好きになってよ。
偽りじゃなく、お試しじゃなく。
本当の恋人になってよ。
僕だけを愛してよ。
僕だけを見つめてよ。
僕だけに微笑んで?
僕だけと思い出を作って?
僕は…君だけを愛し続けるから。
愛し抜くと誓うから。
僕には身分も強さもない…病持ちだけれど。
君を幸せにして上げるから。
だから僕も…幸せにして?
ただ…君が愛してくれるだけで、僕は満ち足りるんだ。