シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「玲くん…、ねえ玲くん…」
ああこの声…。
「お願いだから、目を開けて、玲くんッッ!!!」
僕の愛しい…芹霞?
「玲くん、戻ってきて、玲くんッッ!!!」
帰っていいの?
君の元に…行っていいの?
…違うか。
僕は君に冷たくしたから。
僕は君に嫌われてしまったから。
もう…きっと僕には、笑いかけてくれないね。
話しかけてはくれないだろう。
そして、違う男の元に…大切に思う男の元に、君は行ってしまうんだ…。
行かせたくない。
そう思えばこそ、いつも僕は必死だった。
君に…特別だと、気付いて貰いたくて。
特別な関係になりたくて。
―――これは夢。
僕を芹霞が抱きしめるなんて。
僕が望んだ…幸せな夢。
出来るなら、甘い言葉が欲しかったけれど。