シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
「うわっ、あいつ闇雲にあたし探し回ってるんじゃ…」


その時、小猿くんが屈み込んで何かを手にしていて。


「何か光ると思ったら…ピアス?」


「え?」


慌ててあたしは、小猿くんの手の中のピアスを奪った。


どう見ても…


それは煌の…いつも耳につけている太陽石(サンストーン)。


どうして、これが此処に!!?


だってこれ…煌の武器だよ!!?


奴がどんなに馬鹿でも、自分の武器放り捨てて行くわけないでしょう?


ぞくり、とした。


じゃあ…考えられることは?


「煌、煌まで拉致られた!!!」


走り出そうとしたあたしの手を、小猿くんが掴んだ。


「仮にそうだとして!!! ワンコの居場所判らないだろう!!? なあ、優先順位間違っているって!!!」


「優先順位? 人の命にそんなものないわ!!」


「しーっ、しーっ!!! お前声でかいんだよ、黙れって。

いいか? 黄幡会の狙いは、まずは紫堂櫂だ。そして拉致られてから時間が経っている。だけどワンコが連れ去られたのは今だ。

危険度の優先順位考えないと、助かるものも助からない。俺達の人数は限られてるんだから…ああ、そうだ、式!! ワンコは…№2に探させるか」


「№2……?」


「俺の式神だよ!!! あいつ…ワンコが気に入ってたみたいだから。よし、だったらそれぞれ…気に入った相手を探させよう」


そう言うと、小猿くんは懐から何やら数枚の細長い紙を取り出して、両手の指にそれを挟め、


「宿りし者の力と念を、わが元においてこの元へと移す」


そう、凛とした声で言い放った。


途端。


迂闊に近寄れない…そんなオーラが彼を取り巻いて。


櫂達が力を使う時のような…鳥肌が立つような、"何か"が膨れるのを感じた。




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