シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

「な、何だよ、その哀れんだ目…」


自然とそうなってしまうんだから仕方が無い。


「もしかして…」


何かを察したらしい小猿くん。


あたしの哀れみはまだ続く。


「まさかさ・・・…」


小猿くんは、あたしと桜ちゃんを交互に見始めた。



「もしかして…あれが…葉山、とか?」



気がついた。


あたしは言っていないけれど、自分で気づいた。


少し胸が痛い。


うわ、今この子の胸の中ってどうなっているんだろう。


ああ、初恋みたいなのに…。


ふと、思う。


あたしの初恋は…久遠だ。


叶えたくて仕方が無かった幼い恋。


初恋って引き摺るというけれど…。


あたしはどうなんだろう。

引き摺っているんだろうか。


久遠は絶世の美男子で、毎日13人の女の相手をしてきて。


それでもショックに思わずにすんなり受け入れられたのは、たとえ記憶がなかったとはいえ…会わずにいた13年間で、恋心が薄れてなくなっていたということなんだろうか。


だけどやはり初恋は大切で。


久遠以外に、"せり"と呼ばせたくないし。


何らかの特別性を求めてしまうのは確か。


穢されたくない。

綺麗なままでいて貰いたい。


もうそれは、淡い恋というよりも執着だ。



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