シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
ああ、携帯についていた血痕!!!


顔色を変えたのは小猿くんで。


「葉山~!!!」


さすがに――ズボンからでも、

太股を触る勇気はないらしい。


躊躇った形跡は、真っ赤な顔とその泳いだ目で判った。


「葉山、おい、葉山!!?」


肩を揺すって起こそうとする。


ああ、そんなに間近で見ていても、まだ男だって気づかないなんて。


そりゃあ桜ちゃんは一見華奢に見えるけれど、だけど修業してがっちりとした体格になりつつあるし、第一肩掴めば、発達している筋肉とかで違和感感じないのかな。


愛は盲目。


「血、血をどうしよう?」


小猿くんが慌てた様子で、あたしを見た。


「まずは止血しよう。縛るもの、ええと…」


言葉を切ったのは。


桜ちゃんLOVEと思われる小々猿が、桜ちゃんの太股をすりすりしたから。


「お前~!!!」


しかし。


憤る小猿くんの前で、小々猿が触れた場所の血が止まって行く。


「へ!!?」


桜ちゃんの顔色が、少しよくなったような気がした。


「凄い、凄いね、この小々猿!!! 小猿くんより凄い!!!」


思わずそう褒めたら、


「おい!!! 小猿、小々猿って、早口言葉みたいに言うのはやめろ!!!」


そう騒ぎ出して。


「ん~、うるさいなあ…」


由香ちゃんがむっくりと上半身を起こして、目覚めた。


「由香ちゃん!!!」


思わず抱きつくと、ようやく由香ちゃんは事態を把握したようで。


「おお~、神崎!!! って、葉山、おい葉山!!?」


ぐったりしている桜ちゃんを慌てて起こす。


だけど桜ちゃんが起きない。


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