シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

「豊洲の黄幡会本部。全員が全員、拉致られたみたい」


あたしが即答すると、桜ちゃんの目が細められる。


「黄幡会……?

全員……?


櫂様、玲様は…!?」



桜ちゃんの目が、またくりくり忙しく動いた。


険しい光を宿しながら。



「これから探す処。多分この塔の中にいるとは思うけれど」


「馬鹿…いえ、焦げ蜜柑は?」


そうか。


煌はとうとう、焦げてしまったか。


桜ちゃんの中で、どんな蜜柑の有様になっているのだろうか。


「煌は。此処で拉致られた」


その単語に、あたしは怒りと悲しみを乗せた。


「あたしがちょっと目を離した隙に。

煌を連れ去るなんて、普通じゃ考えられない」


力的にも、体格的にも。


桜ちゃんは立ち上がり、毅然と言った。


「行きましょう。

何だか嫌な予感がします。


早く、櫂様と玲様を見つけねば…」


やっぱり煌は後回しにされているけれど。


桜ちゃんの言葉に。


どくん。



陽斗が警鐘を鳴らした。
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