シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

夢だと判っているからこそ私は――



その声を振り切った。




誰かに頼るほど、私は弱くない。


玲様を助けるのは、正体不明な"何か"に縋るのではなく。


私自身が助けたい。


だとすれば。


私には、他力本願的なこの声は必要ない。



そう思った時。


まるで悲鳴のような…何かが割れる音がして。




"葉山、大変!!! 紫堂と師匠が!!!"



私は夢から醒めた。





そこには、芹霞さんと遠坂由香と、そして皇城翠が居て。



私を見つめる皇城翠の藍鉄色の瞳が、何だか熱っぽいのが気味悪かったけれど。


風邪か?


何だろう。


私、風邪などあまりひかないのに、悪寒がする。


まさか皇城翠が風邪をひいていて、私がそれを貰ってしまったのか?


だけど今。そんなことを考えている暇はないから。



私は、櫂様と玲様の元に急いだ。




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