シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「見つけた!!!」
歓喜に満ちた芹霞さんの指差す方向には、皇城翠そっくりの式神が1体。
私の肩には、何故か同じ顔の式神が乗っている。
見れば芹霞さんにも遠坂由香にも、式神が乗っているのに…主である皇城翠だけ身軽だ。
彼は完全に見下されているのか。
「小猿くん、あれは誰の式神!!?」
「あのびくつきぶりは№5…多分、紫堂玲!!!」
その名前を聞いて、私は式神の指差す方向に駆けた。
玲様、玲様!!!
今、体調はどうなんだろうか。
発作は!!?
錯乱は!!?
そして壁をすり抜けるようにして部屋に入った時。
目に映ったのは…
「玲様!!?」
ベッドの上で手足に枷を架せられて、
動かない…玲様の姿。
私は…夢を、明晰夢を思い出す。
ああ、だけどあれは夢で!!!
鬘はとれ、振り乱した鳶色の髪が汗で濡れていて。
スカートと始めとした服が乱れにいいだけ乱れて。
それだけ見れば、どれだけ苦しんでいたのかが容易に想像ついて。
「なあ、紫堂玲って女装趣味でもあんのか?」
そんな皇城翠の声を無視しながら、
「!!!」
玲様の…端麗な顔を覗き込んだ私は、息を呑んだ。
恐怖に目は見開かれ、その瞳孔は開いていたから。
その顔色は…土色で――
息をしていなかった。