シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
やっぱり玲くんは、優しいよね。
嫌いなら嫌いと、最後まで通せばいいのに。
あたしが可哀相に思ったんでしょう?
ああ、だけどそれは逆効果。
惨めになるだけ。
寂しいよ。
寂しいよ。
あたし、玲くん好きなのに。
大嫌いって言っちゃったけれど、あたし玲くん大好きなのに。
「放っておいて」
そうとしか言えないのが辛いけれど。
だけど、これ以上…偽りの優しさで、あたしの傷を抉らないで。
これ以上、あたしの中の大切な玲くんとの思い出を、壊さないで。
あたし、もう玲くんから独り立ちするから。
もう玲くんを頼らないから。
だからもう。
哀しい現実を思い知らせないで欲しい。
振り返り、真っ直ぐに見つめた鳶色の瞳には、
動揺と狼狽と…強い悲しみを感じたけれど。
それが、上手な演技に思えてしまった。
「櫂を助けに行っていいよ。
玲くんなら…きっと出口が判るでしょう。
どうぞ、もうあたしにはお構いなく。
今まで…ありがとうね」
精一杯の感謝を込めて、あたしは笑った。