シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「現実を見させてやるよ、玲。
お前が守ろうとしたものの結末をよく見ろ」
男は…パチンと指を鳴らした。
途端。
漆黒色の壁が…風体を変えた。
それは…酷く暗い部屋の中。
ひんやりとした、汚れた剥き出しのコンクリート壁。
腐臭、鉄臭。
あまりの酷い臭いの先を目で追えば、腐乱した死体が枷に繋がれていた。
短い悲鳴を上げたあたしは、思わず口を手で押さえる。
じめじめとしたこの部屋の雰囲気を、ひと言で言うのなら。
此処は――
牢獄。
もしくは…
拷問部屋。
床に落ちている、血糊のついた刃物。
植木バサミのような巨大な鋏も、黒光りしている。
どくん、どくん、どくん…。
櫂は何処?
嫌な予感がして、視線を上げる。
「え……?」
そこには――…
壁から繋がる枷に四肢を囚われ…
全身血で塗(まみ)れた…
「櫂!!!?」
櫂が居た。