シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

ああ――


馬鹿な僕。


想いを殺して、必死に芹霞を突き放した癖に。


結局何1つ守ることが出来なくて

自虐的に僕の心を痛めつけただけじゃないか。


結局、僕の想いを遠ざけただけじゃないか。


こんなに芹霞を求めているのに。

こんなに芹霞が欲しいのに。


――大嫌い!!


その言葉に、僕は平然と振舞うことが出来なかった。


ここまで僕の心を抉るとは、僕自身…予想していなかった。


僕は…揺るがない芹霞の想いに自信があったから。


何があっても、僕の想いは絶対的だと…だから何があっても大丈夫、必ず何とかして見せると、状況を改善できると…過信しすぎていたんだ。


少しの間でも、僕に惑う芹霞の姿を見ていたい…そんな残虐な心があったのも確かだ。


僕を求めて、僕への想いが芽生えてくれたら…そんな自分勝手な願望を抱いていたのも確か。


だけど。


芹霞は、櫂のことになったら我を忘れて。


理屈ではなく本能で。


僕の言葉なんか聞かず、ただひたすら櫂を求めた。


それはいつものことなれど。


そんな芹霞を見た時、僕は…爆発してしまった。


「君は櫂に近付くな!!!

近寄るんじゃないッッ!!!

過去がどうであれ、現在の君と櫂との間に確かなものなんて何もない!!!」


ただの嫉妬。

ただの醜い感情。


櫂に近づけば、君は櫂への恋情を自覚してしまうかもしれない、そんな恐れ。


僕に見せ付ける、僕には手に入れることが出来ない過去の絆。


僕が櫂に勝る為には、その過去を越えねばならない。


だとしたら現在。


現在において、僕は櫂より強い絆を持ちたかったから。


だから、否定せずにはいられなかった。
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