シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


もしも僕が――。


芹霞の温もりに包まれたいと思ったあの夢で。



「願い求めよ。

さすれば我は汝等に与えん。


さあ……求めよ。

汝の願いは如何に?」



あの声に応じて、願いを言っていたら…

何かが変わっていただろうか。



芹霞を傷つけることなく、芹霞に拒まれることなく。

僕は笑っていられたろうか。



僕は、願わなかった。


第三者によって叶えられるものは、願いじゃない。


それは夢で終わってしまうから。


僕が望んだささやかな幸せな時間がもし、

中途半端で終わってしまったら。


その後に押し寄せるものは、

虚しい"絶望"。


諦めることの虚しさを知っている僕は、

何れ終わる夢が怖くなったんだ。


だから僕は、夢ではなく現実を。


終わることのない時間軸で、芹霞とともに居たいと。


他人の手ではなく――

僕自身の力で、芹霞を手に入れたいから。


振り向かせたいから。


だから、願わなかった。


願わなかったんだ――。


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