シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
緑色の光は真っ直ぐに久涅に向かい――
「!!!?」
行き着く前に……消滅する。
「――ちっ!!!」
櫂の舌打ちと同時に、今度は部屋の中に…暗い"何か"が蠢いて。
駄目だ。
櫂は怒りのままに、
完全に戦闘態勢に入っている!!!
「櫂、闇の力でも…久涅には……!!!」
消える。
櫂の力が、弾かれるのでもなく吸収されるのでもなく。
久涅の視線だけで、瞬時に威力を失って。
――何で、何で僕の力が!!?
驚愕に見開かれる、櫂の目。
「教えてやろう、櫂。
俺の力は…"無効化"だ」
そして。
久涅はつかつかと櫂に向かい、手を広げて櫂を守ろうとする芹霞の顎を荒く掴んで上に上げ、
「!!!!」
その唇を奪った。
櫂の、僕の目の前で――
「んんん!!?」
暴れる芹霞をものともせず、
角度を変えて何度も何度も。
「やめろ、やめろ!!!」
がしゃがしゃとした忙しい鎖の音。
思わず動いた僕を、久涅は片手だけで…僕の喉元を押さえ込んで。
桜の放った裂岩糸は、僕を盾にした途端に威力を失い。
「んんん、んんんん!!!」
芹霞のくぐもった抵抗の声と、そのリアルな粘着音に。
どんな状態になっているのかが判るから。
「は……あン…や…んん」
やがて漏れる芹霞の…甘い声に、
僕は泣き叫びたくなる。
「芹霞を――離せ!!!」
櫂の絶叫のような声と鎖の音が、更に僕の怒りと哀しみを煽る。
芹霞が。
僕の芹霞が!!!