シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


目の前で、愛おしい女性が蹂躙される。

凶暴な男に、僕の力では太刀打ちできず。


僕はその屈辱に、怒りに…声にならない声を発した。


仰け反る身体が、白い光に包まれる。


「玲、やめろ、その力は!!!」


櫂の慌てた声。


僕は――


芹霞を奪う男は許さない。


こんな結末を迎えたくて、必死に想いを抑えて芹霞を遠ざけたわけではない。


芹霞を巻き込みたくなくて。

芹霞を守りたくて。

そして何より櫂を守る為に。


櫂をきちんと守る意志さえ見せれば。

芹霞よりも櫂を優先させることが出来れば。


芹霞に手を出さないと言ったから。


終始ついていた監視の目。


それを欺くために僕は!!!


――玲くんなんて大嫌い!!!


しかし僕の渾身の力は――


「玲!!!」


いとも容易く…久涅に無効化され。


「ああああ!!!」


僕は頭を掻き毟りながら…絶叫した。
< 483 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop