シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


――櫂を殺させやしない!!! 僕が守る!!!


――芹霞!!? 関係ないだろう!!?


「お前が櫂を守りきれないから、櫂の大事なこの小娘までもがこのような目に遭う。お前の"決心"がもう少しマシだったならば、小娘の身も安全だったのになあ? 折角譲歩して、その条件を飲んでやったというのになあ?」


――僕の覚悟!!? ああいいよ、僕は芹霞を拒んでも…櫂を守ってみせる!!! 


――僕にとっての主は、櫂だけだ!!!


――僕の"決心"が揺るがないことを証明すれば、芹霞には手を出さないな!!?


くつくつ、くつくつ。


櫂と同じ造りの、極悪な顔が下卑た笑いを浮かべる。


「俺は、その小娘が気に入った」



どくん。



音を立てた心臓は――

まるで不吉な前兆のように。



「長年の苦境の代償に――


俺は次期当主の座と小娘を貰う」



久涅ははっきりとそう宣言した。



「勝手を…言うんじゃないわよ!!!」



芹霞が唇を拭いながら怒鳴った。



「誰があんたなんかにあげるもんですか!!!

次期当主も、あたしも!!!」


「いいのか、そんなことを言って」


それは一瞬のことで。


櫂の髪を鷲掴みにしたかと思うと、その頬を思い切り殴った。
< 485 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop