シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
――櫂を殺させやしない!!! 僕が守る!!!
――芹霞!!? 関係ないだろう!!?
「お前が櫂を守りきれないから、櫂の大事なこの小娘までもがこのような目に遭う。お前の"決心"がもう少しマシだったならば、小娘の身も安全だったのになあ? 折角譲歩して、その条件を飲んでやったというのになあ?」
――僕の覚悟!!? ああいいよ、僕は芹霞を拒んでも…櫂を守ってみせる!!!
――僕にとっての主は、櫂だけだ!!!
――僕の"決心"が揺るがないことを証明すれば、芹霞には手を出さないな!!?
くつくつ、くつくつ。
櫂と同じ造りの、極悪な顔が下卑た笑いを浮かべる。
「俺は、その小娘が気に入った」
どくん。
音を立てた心臓は――
まるで不吉な前兆のように。
「長年の苦境の代償に――
俺は次期当主の座と小娘を貰う」
久涅ははっきりとそう宣言した。
「勝手を…言うんじゃないわよ!!!」
芹霞が唇を拭いながら怒鳴った。
「誰があんたなんかにあげるもんですか!!!
次期当主も、あたしも!!!」
「いいのか、そんなことを言って」
それは一瞬のことで。
櫂の髪を鷲掴みにしたかと思うと、その頬を思い切り殴った。