シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「ふざけんなよ」


煌が副団長を威嚇する。


「冗談ですませられねえぞ、これはお前達の反乱だ」


偃月刀を副団長に向ける煌。


「事と次第によっちゃあ、お前達全員…紫堂の名において極刑だぞ!!?」


「その言葉は…貴方達にお返しします」


そう――

副団長は顔を上げた。


ざざざ。


音を立てて、他の幹部達が副団長の後ろに控える。


同じ顔。

同じ…意思めいた顔。



俺と対立する者の顔。



「私達がお仕えするのはあくまで正式な次期当主。

しかし私達も貴方達に手を出すのは、心情的に忍びない。

"かつて"の次期当主であられた方々に…」


俺は目を細めた。


「"かつて"?」


――噂に聞けば、紫堂稀代の"次期当主"だったとか。


どくん。



――やはり玲から聞いていないんだな。紫堂の次期当主は、この俺だ。



「玲」


俺は――



俯いたままの玲に声をかけた。




瞬間。




玲はびくんと身体を震わす。



まるで俺が何を聞きたいのか判っているかのように。



「どういうことだ?」



玲は口を開かない。



「玲。

知っていることを話せ。

昨夜――

お前は何を知った?」



再び、玲の身体がびくりと揺れた。




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