シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「な!!!」


声を上げたのは芹霞。



「理由は…理由は何ですか!!?

櫂にどんな落ち度があったというんですか!!?」



「お前が…神崎芹霞か。緋狭の妹で…櫂の…」



親父は目を細めた。


何を考えているのか、その無表情さからは判断できない。


初対面の芹霞と親父。


互いに何を考えているのか。



「櫂から…


恋愛感情を告げられたか?」



突然。


そう言い出した親父に、俺は…絶望的に目を瞑った。



――約束します、父上。


忘れていたわけではない。


だけど。


それが剥奪の理由だとすれば、なんて…。


「え、ええと…?」


芹霞の赤く染まる顔。


不自然に泳いだ目に…誰もの視線が集まって。



「それで、お前はどうだ?

櫂のことを…どう思っているのだ?」



どくん。


俺の心臓が波打った。



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