シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

いきなり核心か。


泣けてくる。


芹霞の返事など、判っているから。


だから――



「櫂は…

幼馴染以上の大事な存在です」



ゆっくり。


ゆっくりでいいから、前に進もうと。


少しずつ、踏み込んでいこうと。


だけどそれは。


俺だけの自己満足的なものだと、判っていた。


現実を…認めたくないから。



実際の俺は、焦るにいいだけ焦り、

他の男達に芹霞を渡したくないとただ必死で。


そう、12年経っても俺の想いは、

一方通行だと判っていればこそ。



「男として、愛しているか?」



もういい。


やめてくれ。


これ以上――



「それは……」



俺を惨めにさせないでくれ。


言い淀んだ芹霞に、俺の想いが悲鳴を上げた。


太股を掴んだ俺の指先に力が籠もる。



親父は俺を見た。



「櫂。私は言ったはずだ。

想いを告げるなと」



――約束します、父上。



ああ――。



「所詮、お前などその程度の力量だったのだ。言葉にしないと状況を打開できぬ。そして言葉にして、何かを変えられたか、櫂」


それは。


俺にとって痛い言葉。


俺は目を閉じ顔を背けて、



「いいえ」



そう言うしかなくて。


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