シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「誰がなんと言おうが、これは決定事項。覆さぬ。
櫂は己の弱さに負けたのだ。
そんな軟弱者を次期当主にするわけにはいかぬ。
久涅が次期当主に相応しいかどうかは私が決めるべきことであって、お前達臣下が決めることではない」
親父の言葉は絶対的で。
俺は――
これからを覚悟した。
用済みの者は廃棄される。
親父はそうした独裁政治にて、荒くれ者達の頂点にいるんだ。
玲が紫堂の名を未だもち、俺の傍にいたのは…次期当主の名において、俺がそうするようにしたからだ。
親父と俺との間に愛情はない。
久涅はきっと俺を追放するか、命を奪いに来るだろう。
感じるんだ。
俺への憎悪を。
だとすれば。
俺は――。
俺の為に、俺の大切な仲間達を傷つけるわけにはいかない。
「櫂は、軟弱なんかじゃねえッッッ!!!」
煌が親父にくってかかろうとして、桜と玲が必死に止めている。
皆、泣きそうな顔をして。
芹霞が何かを言った。
だけど俺には聞こえない。
――芹霞ちゃあああん!!
音が…聞こえてこないんだ。
全てが――
無声音の…色褪せたものになりいく。