シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
今――
ただひたすら思い返すのは。
芹霞と仲間達との楽しかった日々。
笑いあってきた日々。
どんな無茶ぶりも、紫堂という力において遂行し、
不可能に思えることも、可能にしてきた日々
俺から紫堂がなくなれば、俺には何も残らない。
――芹霞ちゃあああん!!
俺は、芹霞の"王子様"になれなかった。
俺は…芹霞を手に入れる為の、幸せにする為に必須な手段を無くしたんだ。
自らの想いに、皮肉にも自滅した。
俺に――
残るものがないならば。
"今までどうもありがとう"。
そして――
「現実を思い知ったか、弟よ。
無駄に多く、日の光をお前は浴びすぎた。
お前を守る"強み"は何1つなくなったのだ。
お前のものは――全て俺のもの。
俺が全て頂く。
お前が愛する者全てを。
刃向かえば…紫堂の名において、殺すだけ」
"さようなら"。
俺が突き放さねば、皆までもが危険な目にあう。
せめて。
別れの時くらいは笑顔でいよう。
「馬鹿考えているんじゃないわよッッ!!!」
パシーーン。
俺の頬に痛みが走った。