シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
玲が叫ぶ。
「だけどそれは!!! 事件はいつ起こるか判らない。本当に"彼女"が犯人かどうか確認のしようがないじゃないか!!!」
俺は、エディターの悩みが何なのかちんぷんかんぷんで。
「じゃあ、事件を起こせば? 半信半疑なら、事件を起こして自分の目で確認しなよ」
そして口元を歪めさせて笑った。
「事件を解決しろとは言っていない。エディターを安心させ、それを俺がエディターから直接報告受ければいい。レイクン自身で慰めて上げてもいいんだよ? 王子様らしく、体で優しく愛情あげてもね、あはははは~」
玲の顔が、怖いくらいに歪んでいく。
玲はそれを望んでいないのは明らかで。
「ということで、当主。口出しさせないよ? 8年前、レイクンの時は紅皇の妥協案を聞き入れて、俺のは聞き入れないなんて…
――言わせない」
威嚇するように、その耳元に顔を近づける。
それでも何も動じず、当主は溜息をついて頷いた。
「よーし。折角俺がいるんだから、8年前よりもっと緊迫感出す為に。何よりカイクンは、信頼出来る仲間がいるというのなら、1人ぼっちの久涅クンにハンデをあげようじゃないか」
酷薄な顔。
氷皇がこの顔の時には、いつも以上にロクなことを考えていない。
「ほう? このタイミングで?」
久涅だけが判る"何か"に、
どくん。
俺の心臓が、警鐘を打った。
「そう。"全体攻撃"してから、ゲームスタートも中々粋でしょ?」
これ以上…何もさせるな。
俺の本能が警告する。
「俺へのハンデのつもりか。ははは、じゃあそうさせて貰うか。櫂の苦痛に歪む顔を見たいからな。
"あいつ"はもう来ているのか?」
"あいつ"
どくん。
駄目だ。
いけない。
そいつを櫂に会わせちゃならねえ。
俺の勘がそう告げる。