シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「緋狭。お前が仕えたい、紫堂の次期当主は誰だ?」
更に。
追い打ちをかけるような言葉が聞こえて。
「久涅様です」
彼女は――
櫂様が身分を剥奪されたことを知っていて。
あんなに可愛がって面倒をみてきた櫂様を…見捨てたというのか。
久涅の何処が櫂様に勝る!!?
櫂様は、櫂様こそが相応しいと言うこと、判るじゃないか!!!
そして櫂様が次期当主ではなくなったから。
だから――
櫂様の命を奪う側になると、そういうのか。
「久涅様以外、認めません」
緋狭様の強い言葉に、櫂様は――びくりと体を震わせた。
その顔は、あまりの悲痛さに崩れてしまいそうで。
それを振り切るように、櫂様は首を横に振られた。
「幻覚とでも思っているのか? 此の場の出来事は全て幻と? ははは、現実逃避か。どうだ…皇城の次男、先刻から見ている"それ"はどう映った?」
久涅から、突如向けられた矛先は。
「幻、じゃねえよ。現実だ。
…此処で起きていること全て」
皇城翠は、"それ"…鏡を握りしめながら、悔しげに言った。
私達の救いの道は――
閉ざされたのか?