シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「くそおおおお!!!」



煌が両手を伸して、金翅鳥(ガルーダ)の勢いを止めようとする。



無理だ。



煌では無理だ。



煌の火の力は、あくまで緋狭様の支配下にある物質。



バリーーン。



金翅鳥(ガルーダ)が吐き出す火の勢力に、煌の…緋狭様から渡されていた腕環が砕け飛んだ。


煌だけに与えられた、緋狭様が常につけられていた腕環。


それは煌との間にあった絆であり、愛情であり。



それが破壊された煌は。


一筋の涙を零して…床に両膝を落とした。



クアアアアアア



目の前には金翅鳥(ガルーダ)が咆吼して。


そして一気に、凄まじい…灼熱の炎を吐き出した。


櫂様は両手を突き出して、風の防御壁を作る。

玲様も両手を出して、電磁波の防御壁を作る。


混ざり合う、緑と青い色。


私も。


裂岩糸で強化する。



攻撃ではない。



あくまで防御。



向けられない。



私達は、恩師である緋狭様に…

手を上げることが出来ない。



何があっても。

どんなことになっても。
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