シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

「はははは、氷皇よ。明日待たずに勝敗ついた」


「当主やマスターエディターは避難させたから、十分やってもいいよ? あはははは~」



ふざけたことを――


言うな、氷皇ッッ!!!




壊される。



赤い糸で紡がれた、私達の壁が。


真紅色に…凌駕されていく。


差が――


圧倒的な力の差がついていく。



私は――


櫂様を、玲様をお守りしないと!!!




そんな時、久涅の舌打ちが聞え――




「阿呆がッッッ!!!


前に出るなッッ!!!」





突如男の声が割った。


同時に。


襲いかかってきた金翅鳥(ガルーダ)が、嫌がるような甲高い声を出した。



「……!!!」


視界に入る白衣。


ゆるやかなウェーブかかった煉瓦色の髪。


鋭い――濃灰(ダークグレイ)色の瞳。



麓村朱貴、だ。



赤色から金色と。


変わりゆく炎の勢いを、片手で制し。



ありえない状況は――


緋狭様の攻撃だけでもういい!!!



「久しいなあ、朱貴」



緋狭様の声。



朱貴を知っているのか。



「出てきちゃったんだ、朱ちゃん、あははは~」



五皇、そして――



「ほう? 俺に刃向かうか、朱貴」



久涅――。

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