シンデレラに玻璃の星冠をⅠ



「芹霞、皆、こっちだッッッ!!!」



それは――


天井から聞こえてきて。



「紫茉、ちゃん?」



天井から真下に手を伸すのは、七瀬紫茉。



「こっちが出口だ!!!」



天井が出口!!?



「からくりは判らないが…この塔は、目に見えている形が真実じゃない。あたしを信じて、こっちへ歩いて来いッッ!!!」


芹霞さんは、少しだけ緋狭様の方向を振り返り、そして七瀬紫茉に向かって頷いた。


玲様が櫂様を抱え、私は馬鹿蜜柑を抱え。そして芹霞さんと皇城翠と、頭を抱えて縮こまっていた遠坂由香は…


天井に向けて"歩く"。



途端、景色が90度に半回転し――


気付けば。


七瀬紫茉と同じ水平線上を歩いていて。


「ええ!!?」


芹霞さんは驚いて飛び跳ねていたけれど、その疑問は後にして。


「早くッッ!!!


朱貴があの女を止めている間にッッ!!!」



"あの女"


それは――


私達が尊敬する恩師…。



金がかった赤色に、彼女達の姿は見えない。
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