シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

緋狭様が久涅側についてから。


櫂様も…私達の士気は急降下したのは事実。


氷皇が、"全体攻撃"と言ったけれど、まさしく私達は大ダメージを受け、これからのことを上手く考えられない。


思うのは――

何故?という疑問と。


今までの、緋狭様の温情のみ。


それだけ、緋狭様の存在は、私達にとっては大きかった。


馬鹿蜜柑は地面に屈み込んで、ぶちぶちと斑(まだら)に生えた雑草を毟り始め…腕環が無くなった手首を眺めては、大きな溜息をついていた。


「お姉ちゃん…」


芹霞さんにとって未だ緋狭様の立ち位置は判らなくとも、対立関係にあるという事実があるだけで、彼女にとっても信じがたいことなのだ。


七瀬紫茉と遠坂由香は今にも泣き出しそうな芹霞さんを宥(なだ)め、皇城翠はバツの悪そうな顔をして私達を見ている。


視界の中で、何かが動く。


玲様だ。

櫂様の肩に手を乗せた玲様が、ふと1点を見つめた時。


私と、馬鹿蜜柑は共に櫂様を庇うように立った。


前方には――

ずらりと並ぶ紫堂警護団達。


本家から消えた幹部と、本家に残っていた下の者と。


総動員、か。
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