シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

私と玲様は。


警護団を纏める立場であるのに、櫂様の排斥情報は事前に何一つ入っていなかった。


今、警護団全てを取り仕切るのは副団長。


私が今まで興味すら覚えなかった男。


私達の間には私的な信頼関係はないけれど、少なくとも。


櫂様を守ろうとする気配が見られないのは、職務怠慢以上に…許されることなき"謀反"だ。


こんな者達が、警護団として、私の部下として、櫂様を守る立場に居たとは笑わせる。


紫堂に、私の信じられる者はいない。


昔も今も――

私が信じられるのは…

私と常に行動に共にしてきた人達だけだ。



「――…団長、

私達側に…お戻り願いたい」


副団長の言葉は、私の心を益々凍らせた。


「直属の上司を殺す真似だけはしたくありません」


私は嘲り笑う。


「殺す? お前達が私をか?


――殺せると本気で思っているのなら、私も随分と見くびられているものだ」


そして、キッと睨み付ける。


「私を殺せなくとも、櫂様ならいいのか。

――ふざけるなッッ!!!」


腹の底から沸き上がる怒り。


「だから!!!

団長に戻って頂きたい」


副団長は絞り出すような声を出した。


私は目を細めた。
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