シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

芹霞と七瀬が七瀬宅を掃除している中、順番に軽くシャワーを浴びさせて貰っている俺達は、先に片付いた居間にて作戦を練る。



警護団の告知した2時間まで、あと1時間。



恐らくそれからは、俺達は思うように動けなくなる。


俺は…皆を危険に晒すことになる。


そして最悪、俺が明日の0時までに横須賀に行き着かなかった場合。


つまり俺の力が久涅に負けた場合。


俺は久涅によって消されるだろう。


あの男の強さは異常だ。


"無効化"の紫堂の力など今まで聞いたことがない。


そして現在進行形で鍛錬されている肉体から繰り出される武術も半端なく、更には無効化出来る紫堂の力。


何よりその力の限界を推し量れぬのが、気味悪い。


親父は本当に、そんな男を以前に次期当主に任命し、排斥し、再任命したのだろうか。


あの男の存在は、紫堂にとって爆弾だ。


一度使い方を間違えれば、紫堂の脅威となるだろう。


それが判らぬ親父ではないだろうに。


久涅に固執する理由が判らない。


そして。


ああ、やはりとは思ったけれど。


親父は、俺が次期当主の立場に居るのが嫌なのだ。


最近思っていた。


俺を疎ましがっていたことを。


――いい気になるな、櫂。


親父の前で俺が賞賛されると、親父は決まって嫌悪の表情でその場からいなくなるから。


――次期当主は、そこの久涅だ。


俺は、久涅以下か。

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