シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

――櫂を殺させやしない!!! 僕が守る!!!


――随分とした忠誠心だな、玲。お前の全てを奪った男なのに。


心理作戦か。


――芹霞も、奪われるぞ、櫂に…。


ずきん。


心が痛む。


駄目だ、聞くな、聞くんじゃない。



――ははは。耳を押さえるか、玲。櫂を守ろうという決心は見事なものだ。だけど、小娘はどうかな?


――芹霞!!? 関係ないだろう!!?
 

僕は、"芹霞"の名前に取り乱す。


それが判っていたらしい久涅は愉快そうに笑う。


――ではこうしようか、玲。お前の決心、覚悟を…態度で示せ。


つまり、芹霞を拒んで櫂を守りきれと。


僕の行動を監視させると。


もし、僕が芹霞の方を優先させたのなら、その時は櫂に攻撃を加えると。


もし僕が芹霞を拒みきれたのなら、攻撃を考えてやると。


妥協案だった。



――僕の覚悟!!? ああいいよ、僕は芹霞を拒んでも…櫂を守ってみせる!!! 


僕が櫂を守っていれば。


芹霞を拒んでいれば。


少しでも長く、櫂は傷つかずにすむ。


――僕にとっての主は、櫂だけだ!!!


そして――


――もしお前の決心が脆いもので、櫂を守りきれなかったのなら。その時は…芹霞も俺が頂く。お前達が奪い合いをしている女を、玩具にするのも面白い。


櫂と同時に、芹霞を守る為には。


――僕の"決心"が揺るがないことを証明すれば、芹霞には手を出さないな!!?





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