シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


一体――


僕がしたことは何だったのだろう。



僕は何一つ守れなかった。


櫂も芹霞も危険に晒しただけだ。



芹霞を久涅に奪われない為には、氷皇が提案したゲームに勝つしかないのか。



あと2時間。


警護団が赦したその時間。


大切だとは判っているけれど…


長丁場になる闘いの前に。


シャワーで汚れを洗い流して、どうしても傷を手当てしたかった。


いつもの僕なら傷などどうでもいいけれど。


この傷で心配をかけてしまったら、確実に皆に心配をかけ…足を引っ張ってしまう。


僕は気付かれないようにしないといけない。


桜だけは――

気付いてしまった。



だけどあいつは、僕の心を汲み取ってくれている。


僕が欲しいのは同情ではなく、


ゲームに勝ち、櫂を守りきって次期当主に戻すこと。


櫂以外の次期当主は認めない。


例えそれで当主と争う羽目になろうとも。


僕にとっての"絶対"は櫂だけだ。


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