シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
「ご、ごごごめんね、芹霞!!! ちょっと離れて!!!

離れて…僕を見ないでね、そのままで、このまま先に出ていって!!?」



僕は、芹霞の肩を前に突きだした。



途端に芹霞の体がびくりと震える。



「もう一緒にいたくない程、あたしのこと嫌いになっちゃったッ!!?


玲くん、玲くん~ッッ!!!」



こちらを振り返ろうとする芹霞に、



「わわわ、ち、違う!! 君の気持ちは嬉しいし、僕も君が好きだから。好きだから、こっちみないで、あっち、あっち!!!」


僕は慌てて、また芹霞の肩を押して、くるりと向きを変えさせる。


「うわあああん!!! 玲くん、やっぱりあたしのこと嫌いになっちゃったんだ!!!」


「違う、違うから!!だ、だから、とにかくこっち向かないで!!! 今の状況を…」


「玲くんに嫌われた~ッッ!!! うあああん!!」


駄目だ、聞いちゃいない。


狭い空間に、芹霞の泣き声が反響して。


ああ、誰かが駆け付けてきたらどうするんだ。

益々、事態は僕にとって悪くなるだけ。


僕の傷痕がバレた上に、僕は変態だ。


僕は芹霞の腕を掴んで引き寄せ、反対の手で芹霞の口を押さえながら…溜息交じりにその耳元に囁いた。


いつものように、微笑みながら。


もう半分――自棄なんだけれど。



「別に――…

この状況じゃなければ、離さないけれどね。


判ってる? 此処何処か。君の服がどんな状態か」



「――…。


きゃあああ、ふ、服が透けて…きゃあああ」



途端に芹霞は真っ赤になって、両腕で自らを抱き締めるポーズをした。
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