シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
少しだけ…惜しい気もしたけれど。
僕だって、健全な男だし。
触れられるものなら、触れていたいけれど。
だけど。
それより何より、
芹霞の格好がどうのいうよりも――
「本当に判っているかなあ。僕がどんな状態か」
僕が…やばいから。
僕は――
「――…え?
きゃあああ玲くんッッ!!!」
――…全裸だ。
流石に…恥ずかしくて。
「ふ、服服服!!!
玲くん、なんでそんなトコまで裸なの!!!?」
どんなトコを言っているんだろう?
芹霞は何処まで見たんだろう?
そんな疑問は湧いたけれど。
いっそ僕の全てを見せて、意識させたい気もするけれど。
だけどそんな時ではないから。
「あ、あたし…行く、行く!!!」
僕がきっと煌だったら。
違う意味の言葉に変換して、より発情するのだろうけれど、幸か不幸か、僕はあいつより自制心が強くて、脳内変換しないように理性の欠片を総動員させて落ち着かせることに専念していたから。
そんな僕の事情など露知らず、逃げるように急に遠ざかる芹霞を見ていると、無性に寂しくなってきて。
また僕は芹霞の腕を掴んで囁いた。
「こういう格好で愛の言葉は…また今度にしようね?
その時は遠慮しないからね、何度でも何度でも抱きしめながら囁いて上げるから。
それ以上のことも…君が望むなら――…」
「!!!!」
芹霞が――
鼻を抑えながら、慌てて外に出た。
裸ということもあるけれど…
僕は傷を見られたくなかったんだ。
君のお姉さんにやられましたって、
どんな顔して言えると思う?
僕は…君の心を守りたいから。