シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
・待機
*************
玲くん具合悪くなって倒れているんじゃないだろうか。
そう思って駆けつけた浴室(バスルーム)。
流れ続けるシャワーの音だけが鳴り響いていて。
「……玲くん?」
少し躊躇いながら声をかけたけれど返答がない。
ドアは蒸気が篭って、中の様子がよく判らない。
水飛沫の音にあたしの声がかき消されているのか、それとも玲くんが倒れているのか、はたまた…あたしだから返事したくないと思っているのか。
最後の選択肢の可能性だけは、どうしても嫌だ。
あたしは判ったから。
玲くんは、櫂を守る取引条件として、あたしを避けていたことに。
あたしは――嬉しかった。
玲くんは、きっと"仕方がなく"あたしを避けていて、それは彼の本心じゃなかったんだって…そう信じたかったのかも知れない。
早く玲くんと仲直りして、以前のようににっこりほっこり笑いかけて貰いたかったけれど、実際…玲くんと話す処の話じゃなくて。
櫂の窮地に、あたしのことなんて二の次にしないと。
由香ちゃんが玲くんが遅いと言った時、仲直りするなら今がチャンスだと思ったんだ。
この機を逃したら、玲くんとの距離はあいたままの気がしたから。
だから、赴いた浴室だったけれど…全然玲くんからの返答がないことが、あたしの中で…否定したい不安だけをむくむくと育てた。
玲くん…この時だから調度いいって、本当にあたしを遠ざけようとしていたんじゃないだろうか。
そんな時、聞こえたんだ。
「芹霞――…
僕を…嫌わないでくれ。
せめて…前みたいに…僕に笑顔を見せてよ」
あたしの言葉は玲くんを傷つけていた。
そう思ったら、いても立ってもいられなくて――ドアを開けて、力いっぱい玲くんに抱きつきながら謝った。
玲くん具合悪くなって倒れているんじゃないだろうか。
そう思って駆けつけた浴室(バスルーム)。
流れ続けるシャワーの音だけが鳴り響いていて。
「……玲くん?」
少し躊躇いながら声をかけたけれど返答がない。
ドアは蒸気が篭って、中の様子がよく判らない。
水飛沫の音にあたしの声がかき消されているのか、それとも玲くんが倒れているのか、はたまた…あたしだから返事したくないと思っているのか。
最後の選択肢の可能性だけは、どうしても嫌だ。
あたしは判ったから。
玲くんは、櫂を守る取引条件として、あたしを避けていたことに。
あたしは――嬉しかった。
玲くんは、きっと"仕方がなく"あたしを避けていて、それは彼の本心じゃなかったんだって…そう信じたかったのかも知れない。
早く玲くんと仲直りして、以前のようににっこりほっこり笑いかけて貰いたかったけれど、実際…玲くんと話す処の話じゃなくて。
櫂の窮地に、あたしのことなんて二の次にしないと。
由香ちゃんが玲くんが遅いと言った時、仲直りするなら今がチャンスだと思ったんだ。
この機を逃したら、玲くんとの距離はあいたままの気がしたから。
だから、赴いた浴室だったけれど…全然玲くんからの返答がないことが、あたしの中で…否定したい不安だけをむくむくと育てた。
玲くん…この時だから調度いいって、本当にあたしを遠ざけようとしていたんじゃないだろうか。
そんな時、聞こえたんだ。
「芹霞――…
僕を…嫌わないでくれ。
せめて…前みたいに…僕に笑顔を見せてよ」
あたしの言葉は玲くんを傷つけていた。
そう思ったら、いても立ってもいられなくて――ドアを開けて、力いっぱい玲くんに抱きつきながら謝った。