シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
するとあたしはくるりと背を向かされて、後ろから玲くんが抱き締めてきた。
玲くんの顔が見えない不安はあったけれど、玲くんは傍にいると…心地よい温もりが伝えてきたから。
ああ、何だか全てが悪い夢だったようで。
何ひとつ、以前と変わっていない気がして。
だけど、安心と同時に…妙に熱を孕んだ玲くんの肌に、呼応したかのようにあたしの体温まで上がりだして。
シャワー音だけが鳴り響く、蒸気篭った密閉空間。
心臓がばくばくするのは何の息苦しさ故か。
あたしの首元にある、玲くんの喘ぐような吐息が…微かに乱れる。
あたしの胸の位置にある手に、力が篭ると同時に…微かに動いて。
何、何、何!!?
――と思ったら、突如拒まれた。
出て行けといわれてしまった。
どんなに玲くんに訴えようとしても、玲くんはあたしを見ようともしないで、後ろ向かせてドアまで押し出す。
くるくる、くるくる、あたしは回る。
玲くんに嫌われた。
だから一緒にいるのが嫌なんだ!!
哀しくて大泣きしたら…玲くんが微笑んだ。
久々の…色気を放ちながら、現状を告げられた。
あたしは半裸、玲くんは全裸。
ひええええッッ!!!
狼狽しているのはあたしばかりで、微笑みを崩さない玲くんは…とことん余裕で。更に妙な妖しい艶まで撒き散らし始めて。
玲くん、裸見せるの慣れてるの!!?
それとも露出狂の気でもあったの!!!?
アダルトな世界は、よく判らない。
玲くんが余裕なのは、あたしがお子様だからだろうか。
経験値の差なんだろうか。