シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
玲くんは、服を脱いでも色気が凄い。
服に隠されていた分、肉体から妖しいピンク色が溢れ出す。
桜色に染まった白肌が…男のくせに綺麗で、細身なのにがっしりとした骨格は、どんなに女装が似合っていても、決して女のものじゃない。
ああ、駄目だ。
玲くんの裸にくらくらくる。
女のあたしが、男の玲くんの裸にKOなんておかしいとは思うけれど、嫌でも玲くんの裸が視界に入るなら、見てしまうのが人間の心理でしょう。
ああ、下は見ていないよ?
蒸気が凄いから、じっくり見ないと見えないし。
見たかったわけではないけれど、だけど見ようとすれば見れてしまう現状を認識して、更にあたし1人、慌てふためいた。
そんなあたしは、いつもの如く玲くんにからかわれて、更にあの色気を撒き散らされながら耳元で囁かれる。
言葉もそうだけれど、玲くんの吐息交じりの囁き声って、甘すぎて…何だかヤラしくて…体がもぞもぞし始めて、腰砕けになりそうなんだ。
たらりと感じる鼻の違和感を感じて、あたしは慌てて空間から逃げ出した。
あたしだって女の子、色気にやられた鼻血姿を見せたくないんだ。
どうして鼻血が出るのはあたしだけなんだろう。
一応あたしだって半裸で、下着スケスケなのに。
きっとあたしは、玲くんを魅了することも出来ないお子様なんだと思って、軽く落ち込んだ。
ショックのように感じるのは、あたしは玲くんに女として意識されたいということなんだろうか。
駄目だ、あたしは玲くんの色気にやられているらしい。
玲くんに、何を望んでいるというのだろう、あたしは。
玲くんを待っている間。
先刻シャワーを浴びた時に着なかった…紫茉ちゃんのTシャツが放置したままになっていたことを思い出して、速攻濡れた服を着替えさせて貰った。
風邪なんてひいて、皆の足をひっぱりたくないし。
玲くんは、あたしの話し合いの提案を拒否しなかった。
それは、元に戻ったって思っていいよね?
だけどその前に、ちゃんと謝らせてね。
ちゃんと言わせてね。
あたしは玲くんが大好きで、嫌っていないということに。