シンデレラに玻璃の星冠をⅠ



「きゃああああ!!!」



その時、突然芹霞の声が聞こえて。


俺は煌と共に、その声の場所に走った。



芹霞には玲がついているから、大丈夫だとは思うけれど。


紅皇の結界が張られているこの場所で、

敵襲を受けたのだろうか。



「櫂、こっちだ!!!」


煌についていき、開けられたままのドアの奥に飛び込む。


芹霞と遠坂が居た。



「どうした!!?」


芹霞が指さした処には…


青い顔で仰向きになって倒れている桜を、抱き留める玲の姿。



床には、何かの錠剤が散らばっていて。



「何を――飲んだんだ、桜!!?」



そして――



「大事ない。すぐ意識は戻る」



ふっと…現われたのは――


赤い襦袢姿の妖艶な女性。



ああ、得も言えぬ感慨が胸を押し上げる。



様々な感情が入り混ざり、俺は唇を噛みしめた。




「ようやく…来たか。


待ち兼ねたぞ?」




緋色の唇で艶やかな笑いを作った…


一升瓶片手の紅皇――



否。



「――…坊」



神崎緋狭が居た。

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