シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
・別離 桜Side
桜Side
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いつかくるとは思っていたけれど、
私の"薬害発作"は突然、会話中に起こった。
手足がぶるぶると震え始め、血が通わなくなる。
それなのに異常な汗だけが滴り落ちて――
そして。
幻覚が始まる。
私は、緋狭様からいつも薬を手渡されていた、地下の一室へと走った。
足は次第にかくかくと言うことを聞かなくなってきて、周りの景色も薄らいでいく。
駄目だ、絶対こんな姿を櫂様達に見せては駄目だ。
自然と私の手は、ポケットの中の小瓶を取り出していて。
半分に減った"α-BR"。
今飲めば、私は苦しまずにいられる。
だけど。
もしもこの薬が、私が手に入れられる最後のものだったのなら。
もし玲様があの発作を再び起こされたら。
もしも私が玲様にこの薬を飲ませていたのなら。
玲様は助からないかも知れない。
健常者でさえ苦しみ藻掻くあの幻覚の苦痛。
玲様の心臓は、今度こそもたないかも知れない。
だとすれば。
他に予備がない限り、無闇に私が飲むことは出来ない。
もしこの手の中の薬が、最後のものとなるのなら。
この薬は、玲様用のものだ。
私が飲んではいけない。
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いつかくるとは思っていたけれど、
私の"薬害発作"は突然、会話中に起こった。
手足がぶるぶると震え始め、血が通わなくなる。
それなのに異常な汗だけが滴り落ちて――
そして。
幻覚が始まる。
私は、緋狭様からいつも薬を手渡されていた、地下の一室へと走った。
足は次第にかくかくと言うことを聞かなくなってきて、周りの景色も薄らいでいく。
駄目だ、絶対こんな姿を櫂様達に見せては駄目だ。
自然と私の手は、ポケットの中の小瓶を取り出していて。
半分に減った"α-BR"。
今飲めば、私は苦しまずにいられる。
だけど。
もしもこの薬が、私が手に入れられる最後のものだったのなら。
もし玲様があの発作を再び起こされたら。
もしも私が玲様にこの薬を飲ませていたのなら。
玲様は助からないかも知れない。
健常者でさえ苦しみ藻掻くあの幻覚の苦痛。
玲様の心臓は、今度こそもたないかも知れない。
だとすれば。
他に予備がない限り、無闇に私が飲むことは出来ない。
もしこの手の中の薬が、最後のものとなるのなら。
この薬は、玲様用のものだ。
私が飲んではいけない。