シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


その問いが迷いを生むのが判るから。


迷い惑うことが、破綻を誘導することを知っているから。



櫂様を…完璧に守りきるためには、その問いの答えのあり方に、早く片をつけねばならない。



緋狭様は――微笑んだ。



「否。元よりお前達など、暇潰しの玩具だった」



きっぱりと、斬って捨てられた。



櫂様は――



「情け容赦なく切り捨てて頂き、


ありがとうございます」



深く…頭を下げた。



「これで…迷いが無くなりました」



上げられた顔は、悲哀に満ち…同時に意志めいていて。


私達も頭を下げる。


冷酷な言葉の裏に、感じる師匠の愛情。



"強くあれ"



私達は、揺らいではならない。


それを伝える為に、今。


神崎緋狭として、現われたんだ。


対立する紅皇の姿ではなく。


それだけ…事態は切迫しているというのか。



緋狭様はくるりと私達に背中を向けた。



「――…覚えておけ」



そして私達の目の前で。


襦袢を大きく下げて…白い背中を露わにさせた。



「!!!」



私達は一同目を瞠(みは)る。



背中にあったのは――

真っ赤な…不可解な幾何学模様。


緋狭様の柔肌に深く痛々しく刻み込まれていて。



まるで…罪人に押されたような烙印。

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