シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

「桜と櫂は出かけたからと…簡単にお前を使ったのが間違いだったね」


背筋が凍るような冷ややかな声に振り向けば、

開けられたドアに背を凭(もた)れさせた玲くんで。


玲くん…こんなに重いフライパン、あんな処から投げたんだ。


「~~玲ッッッ!!! 変なものぶん投げるなよ!!! 幾ら俺でも、打ち所悪けりゃ即死だぞ!!?」


「大丈夫だよ、もう一度試してみる?」


「!!? また"えげつねえ"顔に…」


玲くんはにっこり微笑みながら、煌に1歩近付いた。


「ねえ――

"不埒なことをしようとした俺が悪かった"って何?」


すると煌が1歩下がる。


「な、何で聞いてるんだよ、んなこと!!!」


「今芹霞にしようとしていたことより、凄いこと?」


玲くん…

凄い…笑みの迫力だ。


鳥肌がたってくるよ。


「ねえ…煌」


気付けば。


玲くんは煌の真横に居て。


音もなく、いつの間に!!?


「…いい夢を」


ドガッ。


玲くんの拳が煌の鳩尾に綺麗に決まった。
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