シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


その時。


突然あたしの太股あたりがブルブル震えだして、あたしは思わず短い悲鳴を上げた。



「何!!?」


スカートのポケットに入れていたバイブの携帯が震えていたことを知る。


どうか弥生からでありますようにと、祈るようにディスプレイを見たら、知らない電話番号だった。


久涅にやられたという弥生の安否が知りたくて、シャワー後弥生に電話してみたのだけれど、全然繋がらなかったから。


だけどこの番号…何か記憶が…


「ああ、小猿くんだ!!!」


あたしは迷うことなく電話に出て、


『もしも「葉山桜です」


意地悪く、そう出てみれば、


『あれ…俺葉山に電話かけたのか…? 無意識って怖いなあ。あ、ああ葉山…ああ…ええと…。俺、言ったこと…冗談じゃないから』


ああ、小猿くん。


今君は真剣で、ドキドキする胸抑えて言っているんだろうけれどね?



馬鹿だ。


本当に猿だ。


流石の煌も、同情の眼差しだ。


好きな女…もとい男だけれど、その声くらい覚えておけ。



『お、俺は本気でお前のこと…「ごめん、あたしは神崎芹霞だ、小猿くん」


あまりに真剣にまた告ろうとしてきたから、さすがのあたしも早々にネタ晴らしをした。


『お、お前…純情少年をもて遊びやがって!!!』


キーキー、キーキー。


「あ~ごめん~、よくあたしの携番判ったね~」


携帯を離しながら、遠くから話すと、


『皇城の力を舐めるなよ~!!!』


権力にかかれば、個人情報なんてないに等しいらしい。


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